副題「自動車と五十年」、平凡社、1958年。「人間の記録双書」の一冊。

上京
 木札の運転免許証
 エンジン年生れの男
 父のくれた大型銀貨
草分け運転手
 星子さんに弟子入り
 塩原で乗合バス
 ハイヤー運転手
 金ピカ服着せられて
 ビール王と花柳界
 たった今クビだ
 ズウズウ弁の高橋
 吉原細見
 仲之町芸者栄太郎
 金沢で自動車問答
 仮祝信
 世も明治
独立開業
 熱海へ初ドライヴ
 粋な大正運転手
 貸切自動車開業
 独立・結婚
 商売繁昌
 侯爵の使者
 しのびよる危機
 新天地への夢
帰郷
 関東大震災
 東京よさようなら
 無資本でバス開業
 無尽の金が命の綱
 ストライキ寸前
 バス経営七周年
 自動車父子二代
自動車よ信号は青だ
 高嶺の花
 日産からの誘い
 終戦
 GHQで情報キャッチ
 六十一歳の抵抗
 国産車販売に専念
 トヨタ精神
 月賦時代の到来
 渡米前夜
 アメリカの自動車界
 生れてはじめての大病
 待てど来ぬ神武景気
 自動車よ信号は青だ
年譜・高橋巌
あとがき・高橋功

高橋氏の人生は、きれいに三部構成になっているようで、東京での運転手時代、帰郷しての盛岡バス創業時代、ディーラーとしても活躍した時代と。1885年に、現在は北上市となった鬼柳村に生まれ、後上京。貿易商箕田長三郎やビール王馬越恭平のお抱え運転手を務める。1924年には岩手に戻って市街バス事業を開始する。

読んでいておもしろいのは、運転手時代。大正時代は、自動車運転手は使用人でありながら、芸能人のような人気だったそうな。高橋氏は容姿もよかったらしく、運転手時代の記述は半分ぐらい花柳界の話である。

『草分け運転手』NDL ONLINE
>「人間の記録双書」について

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