副題「北陸・福井に残る真宗信仰の古層」、宗教問題、2025年。
序章 正月
第1章 春
第2章 夏
第3章 秋
第4章 冬
終章 そしてまた春へ
足で稼いだ体当たりルポルタージュ。自転車で回ったりしていて、地域間の距離感や、真宗道場の分布の密度まで伝わってくるようだ。道場の建物、伝統、そこに現在関わっている人たちのことと、著者が寄せるまなざしのバランスも好きだ。道場にかんする著書は、福井県で2016年に刊行された『越前浄土真宗門徒を支えた道場さんを訪ねて』という本くらいしかないらしい。いまざっとみたかんじでは、たしかに入手困難な模様。勝山市の水上甚栄さんがまとめたという『蓮如上人御旧跡縁起 令和の味わい』という本も気になった。
ガツガツと特殊な慣行を集めるような感じではないが、いろいろと興味を惹かれる話題も。お菓子や食べ物の記憶の話。道場の減少。教義ではありえない、蓮如上人による幽霊済度の伝承。集落間での仏様の絵像の交換。女性が寺を逃げ場にしていた話。戦死者の追悼を行う宿因講。などなど。
とりあげられている道場は、福井市の5ヵ所、勝山市の14ヵ所、永平寺町の4ヵ所、鯖江町の1ヵ所、大野市の8ヵ所、岐阜県郡上市の1ヵ所。これだけ回る、すごい情熱。
[J0616/251130]
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