木耳社、1980年。
中世の石造物は地方色に富んでいて、関東の板碑をはじめ、伯耆の赤碕塔、国東半島の国東塔、薩摩塔などがあるが、播磨の石棺仏も魅力たっぷり。石棺仏は古墳の石棺を再利用してつくられた仏像であるが、本書によれば、河内に3、大和に4、南山城に1、近江に2、丹波に1つがある一方、播磨だけで68あるそうである。この分布の偏りがまず不思議。本書は石棺は単なる材料と捉えているが、石棺それ自体が特別な力を持つものとみなされていたという説もある。

1.石棺仏とは
2.石棺仏と板碑
3.石棺について
4.石棺仏史(仏教芸術の立場から)
5.アミダ浄土教石仏の展開
6.石位寺の三尊石仏

著者は兵庫県の高校教員だったようで、本書にはコツコツと集めた記録とともに、石棺仏への思い入れがこめられている。

>国立国会図書館デジタルコレクション(送信サービスで閲覧可)
 https://dl.ndl.go.jp/pid/12709084

関連の個人サイト、充実した内容。
>「石仏紀行」http://www.isinohotoke.net/

[J0623/251209]