副題「自由と複数性のある社会のために」、NHKブックス、2023年。もともとは講義の教科書とのことだが、いいかんじの概説。前半が学説解説、後半がイシューごとの説明となっていて、とくに後半はごく薄くではあるけど、紹介という目的には即している。「ありがたい、助かる」のカテゴリーに入る一書。

公共哲学は何を問うのか
公共哲学の歴史1
公共哲学の歴史2
功利主義の公共哲学
リベラリズムの公共哲学
リバタリアニズムの公共哲学
ケイパビリティ・アプローチの公共哲学
平等論と公共哲学
社会保障の公共哲学
デモクラシーの公共哲学1
デモクラシーの公共哲学2
フェミニズムの公共哲学
国際社会における公共哲学

新しい動向を手びろく見渡しているのは強み。基本理論については、ロールズやセンの記述にも通りいっぺんの紹介以上のことが含まれているのと、ハーバーマスの説明に一節を充てて比較的手厚い。知らないだけかもしれないけど、これくらいの分量のハーバーマス紹介って、実はあんまりないような気がする。

[J0626/251215]