山愛書院、2009年。『健康不安の社会学』の著者が、一人暮らしの高齢者26人に行ったインタビュー。とくに問題や不安を聞きだそうというのではなく、現在の暮らしを端的に訊ねて記す、地味といえばめずらしいくらい地味な本だが、なんとなく眺めてしまう。

序章 「老い」の再考
第1章 高齢者二六人の語り
第2章 高齢者の超越性
第3章 高齢者の生活の充実

例によって「迷惑をかけずに死にたい」のオンパレード。この頃の80歳~90歳だから、大正生まれが多数。一昔前の高齢者の語りで、たぶん今の高齢者はかなり雰囲気がちがっているはず。ある意味では典型的な高齢者というか、年寄りというアイデンティティを違和感なく引き受ける最後の世代という気がする。著者は香川大学の人で、ここに出てくる話にもあちこちにご当地のことが出てくる。弥谷山の話だったり、紫雲丸に乗っていた人の話だったり。

[J0618/251202]