副題「揺れるアメリカ社会の現場から」、集英社新書、2022年。

  • 序章 なぜ非科学主義信仰を知るべきか
  • 第1章 非科学主義の狂信者たち
  • 第2章 政治を突き動かす非科学主義
  • 第3章 なぜ非科学主義に走るのか
  • 第4章 非科学主義とどう向き合うか
  • 終章 彼らは私たちの映し鏡

アメリカの現地で取材をして、テーマ的にも重要。勉強になる本ではあるが、一方で、アメリカ文化の基本的な理解に疑問が残る。NHKの記者でもこんなかんじなのか。なんでもかんでも、むりに「非科学主義」に結びつけすぎ。なにかとすぐ聖書や神と結びつけるのはアメリカではどの陣営でもふつうのことであって、それは近年台頭してきたところの非科学主義とは言えない。本書で描かれているところの銃規制反対派は、もちろん僕もその立場を支持するつもりはまったくないが、別に宗教上の狂信でも非科学主義でもないのでは。ブサヨと呼ばれる人たちがネトウヨを叩くやりかたに似てきてしまっている。

とはいえ、知らなかった情報も多い。たとえば、反ファシズム・反白人至上主義をかかげながら暴力を辞さないという黒装束集団アンティファとか。陰謀論を主張する非科学主義者のなかに、SDGsを自分たちと信じていることと同じだと主張する人たちがいるという話もおもしろかった。Qアノンがネット上の選挙部隊としてよく働くことから、政治家と結びつきやすいというのは、例の統一教会の話とも通じている。

[J0342/230319]