副題「台頭する世界の女性政治家たち」、幻冬舎新書、2021年。2018年から2020年のあいだに書かれたコラム。つまり、イギリスがブレグジットで揺れていた頃から、コロナ禍が発生した当時の頃まで。まだウクライナ戦争ははじまっていないときのことで、そう考えると世界政治の変転は速い。

EU離脱とメイ首相―おしゃれ番長はパンチバッグ
メルケル時代の終焉―EUの「賢母」か「毒親」か
「ナショナリズム」アレルギーのとばっちりを受けて―スコットランドのスタージョン首相
アレクサンドリア・オカシオ=コルテス―どえらい女性議員がやってきたヤア!ヤア!ヤア!
極右を率いる女たち―新たなマリーヌ・ル・ペンが続々と現れている理由
「インスタ映え政治」の申し子―ニュージーランドのアーダーン首相
「サイバー暴行」と女性政治家たち―叩かれても、踏まれても
サッチャーの亡霊につきまとわれて―メイ首相辞任の裏側
トランプはなぜ非白人女性議員たちを叩くのか―またそんなコテコテの差別発言を
合意なきブレグジットを阻止するのは全女性内閣?
育児のための辞任は反フェミニズム的?―スコットランドの女性党首の決断
英国女王とジョンソン首相の微妙な関係―宿敵のような、でも実は同族の二人
英総選挙を女性問題の視点から見る―辞める女性議員たちと、出馬する女性たち
若き女性たちが率いる国が誕生―フィンランド政治に何が起きているのか
スコットランド独立の悲願―ニコラ・スタージョンの逆襲
日本の右派女性議員をウォッチする―自民党のメルケルになれるのは誰なのか
コロナ危機で成功した指導者に女性が多い理由
「ブラック・ライヴズ・マター」運動を立ち上げた女性たち
小池百合子とフェミニズム
マーガレット・サッチャー再考―彼女はポピュリズムの女王だったのか

日本の政治家を考える際にも、世界政治のなかに置いて考えてみることは有効だ。たとえば、「小池百合子とフェミニズム」という文章。ブレイディさんは、反ムスリムの主張を通して、ナショナリストとフェミニスト、つまり右派と左派が意図的ないし非意図的に連合を組むという「フェモナショナリズム」という現象を紹介して、小池百合子の場合にも、「おっさん政治批判」と愛国ナショナリズムが女性政治家を通じて奇妙な連合を組む可能性を警戒している。なるほど。

[J0454/240317]