副題は「暮らしとビジネスのヒント」となっているけど、イスラーム圏各国における現地体験の読み物集としてとてもおもしろい。いい企画、良書。岩波新書、2015年。

第1章 イスラームの懐に飛び込む―湾岸諸国
第2章 アラブとの付き合い方―アラブ諸国
第3章 誇り高きペルシアの人びと―イラン
第4章 西洋に最も近いイスラーム圏―トルコ
第5章 イスラーム?それとも地域の風習?―南アジア
第6章 イスラームとの新しい付き合い方―東南アジア、そして日本

イスラームとしての共通性も、お国ごとの事情のちがいも、それぞれの体験談からうかがうことができる。ほとんどが日常生活内の話だが、1990年湾岸危機のときにクウェートでイラク軍に拉致された竹内良知さんのお話は、歴史的な証言でもある。

いまは、YouTube などで海外諸国を紹介する動画も多く、そちらはそちらで楽しいが、この本の語り手の方のような、長い期間の体験にふれるのには活字という媒体が効果的であると改めて感じる。

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