日本エディタースクール出版部、1993年刊。

序論 近代スピリチュアリズムの起源
第1章 洞窟と泉:ルルドの出来事
第2章 天空と文字:ポンマン
第3章 光と地球:パリ・奇跡のメダル
第4章 見者と群れ
第5章 歴史と民俗

関先生の場合は、ディティールの部分と、参照文献の引っ張り方がおもしろいので、要約に適さないというのが前提で。ここでは一箇所だけメモを。

一連の聖母出現について、柳田國男などを引きつつ、著者はその物語的側面に注目しながら歴史的形成過程を分析する。「ルルドの「奇蹟」について、「実際の出来事」と「語られる出来事」の差異を綿密に検討すべきだとの批判がある。しかし、かりに両者にずれがみられるとすれば、それはむしろ、ルルドの活力=表象の生産力のありようを示すものとしてとらえうることを忘れてはならない」(p. 104)。

[J0035/200503]