中公文庫、2013年、原著1999年。シリーズ日本の近代の一冊。

プロローグ 経済発展と企業家
1 江戸から明治へ
2 三井・住友・鴻池の危機と打開
3 政商たちの時代
4 会社制度・財閥と雇用経営者
5 大衆本位事業の時代

 明治維新から高度成長期までの企業家のコンパクトな列伝であるが、たんなる列伝ではなく、社会背景も踏まえた記述になっている。たしかにそれぞれの企業家も偉大なのだろうけど、時代の流れもまた大きな成功の決定因であることを再確認。
 もうひとつ、ある種の感慨をもって感じること。同じ企業家・実業家たちの話でも、日本経済が元気だった頃に聞くのと、今聞くのとではまったく距離感が変わってしまったということ。この本が出た1999年頃はまだ「近い」話にこういう物語が聞こえた最後だったのかもしれないな。

 経済に疎い自分には、ダイジェスト的に読めてありがたい。

[J0043/200521]