無明舎出版、2011年。

1 商標登録 以前と以後
2 ババヘラ誕生の日
3 ネーミングの謎
4 ババヘラのルーツを訪ねて
5 ババヘラという仕事
6 売り子たちの舞台裏
7 路上のゲリラたち

秋田名物、アイスクリームの路上販売「ババヘラ」。こういう「名物」にありがちな、タウン情報誌風の記事ではなく、あれこれ力の入った調査探検を進めていておもしろい。

まず、「ババヘラ」のネーミング。本書では、もともとは蔑称に近いスラングだったのが、商標登録される過程を経て、名物扱いになる過程を辿っている。さらには、ババヘラのルーツを明らかにすべく、沖縄のアイスクリンが大潟村への入植者によって持ちこまれた説を、沖縄に現地訪問までして「ちがう」と確認。さらに、高知のアイスクリン文化を確かめて、ここが日本の路上アイスの原点ではないかと推測する。法律や雇傭の問題にまで言及して、たしかにこれは「研究」だ。好きだな、こういう本。

[J0202/210921]