本の雑誌社、2019年。

1 上原果物店;上原山羊肉店;美里食肉店ほか
2 ザ・コーヒー・スタンド;市場の古本屋ウララ;玉城化粧品店ほか
3 大和屋パン;喫茶スワン;大衆食堂ミルクほか

好著『ドライブイン探訪』の橋本さんが、2019年の改修工事寸前の那覇・第一牧志公設市場の店で働く人たちに目を向けた書、ルポルタージュといっていいのかな。「平成最後の夏」、那覇に暮らしながらインタビューをしていったそうで、なんとも、うらやましい、過ごし方と仕事。例によって淡々としたトーンで店やそこで働く人たちを描いていくが、いかにも趣味が前面に出ていた前著よりも、市場や沖縄の歴史に迫ろうという問題意識が、やはり抑制を効かせてではあるが、感じられる内容。懐古趣味や歴史探訪、沖縄のカルチャー紹介といった従来の描き方とたしかに共通のものはあるのだけど、でもそれらとはふしぎと違う。むりのない、自然ではあるけど多分に自覚的なこの低めのテンションは、2010年代・2020年代のそれなんだな。

なお、市場の改修が終わって、新規オープンするのは2022年だそう。

[J0213/211126]