幸田露伴に、恐山探訪記があるというので覗いてみる。1892年、明治25年に、東北旅行の一部として訪れたときのもので、恐山の記録としても貴重らしい。初出まではわからないが、ここで見たのは『露伴叢書 後編』(博文社、1909年)に所収のもので、下記リンク先から読める。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/888712/343

当時から、参詣者に満ちて賑わっていた恐山の様子が描かれる。「ちやるめらの如き」大声を上げて泣きながら地蔵菩薩を念ずる女性たちの姿を目の当たりにして、「面白さに堪へねばハアアッ、ヒーッと小音に其泣き方を我が喉に模して鍛錬しながら田名部に下りける」露伴。なかなかに悪趣味な。

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