副題「サン=シモン、オーウェン、フーリエ」、ちくま新書、2022年。

第1章 市民革命と産業革命―社会をめぐる動揺と混乱
第2章 ナポレオンのヨーロッパ―社会の安定を目指して
第3章 ウィーン体制としばしの安定―社会の理想を求めて
第4章 成長する資本主義の下で―出現した社会の問い直し

従来、「空想的社会主義者」とひとくくりにされてきた思想家・活動家3名の実像に迫る。たしかに、それぞれが興味深い人たち。3名ともまったくちがっていて、社会主義とはいっても、資本主義に批判的であったのはオーウェンくらい。ただし、既成のキリスト教に満足できなかったことは、ひとつの共通点として指摘できるようだ。

とくにオーウェンはいろんな文脈に顔を出す人で、心霊主義との関連では、吉村正和『心霊の文化史』などに記述がある。

本書は、典拠をいちいち記さない物語調の記述だが、個人的にはちょっと苦手。本としての価値もやはり下がってしまうと思う。

[J0338/230209]