アンドレ・コント=スポンヴィル『幸福は絶望のうえに』(木田元他訳、紀伊國屋書店、2004年)、青山拓央『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』(太田出版、2016年)。

コント=スポンヴィルの方は直線的にひとつの幸福理解を示し、青山の方は多くの幸福論とは一線を画して周到に幸福の哲学的考察を進める。青山本は、この主題をめぐる論点を網羅している点でも価値がある。

が、どちらも夢中に読んだというわけではない。それは、自分が考えたい問いが「いったい、幸福ということばを使う必要はあるのか」「あるとすれば、それはどんな場面であろうか」というものだからである。青山の本は「幸福はなぜ哲学の問題になるのか」というタイトルだが、この問いについては問うているようにはみえない。自分が簡単に読みすぎているからだろうか。

[J0011/170522]