中公新書、2012年。

1 飢餓の焦土
2 混沌と熱狂
3 分裂と不信
4 怨念・再編

昭和20年から33年までのプロ野球史。著者はジャイアンツの球団代表まで務めた方とのことで、それはプロ野球史を書くのに、材料に恵まれるというプラス面と、立場性が出るというマイナス面と、きっとあるだろう。まあこの時代だったら、今の価値観からすれば認めがたいことを巨人もしていたはずで、その辺は書けなくてもしようがない。

短い新聞記事をつなぎ合わせたような、さっぱり焦点が絞れていない記述が続いて読むのが辛いところもあるが、当時のプロ野球の混乱状態をうかがいことができる。これがたかだか60年~75年前のこと、ずいぶんとプロ野球をめぐる風景もかわったもの。もちろん日本社会もね。そうだな、だから本当に歴史書を書くには昔の当時を理解しているだけではなくて、今の社会を理解していないとだめだってことなんだな。

[J0098/201005]