葛西賢太・岡崎直人・菅仁美訳、明石書店、2020年。

第一部 歴史
第一章 はじまり:酒をやめていないアルコール依存症者の限界
第二章 最初の成長:酒をやめたアルコール依存症者の限界
第三章 AAの独立:限界のなかに、全体性を見いだす
第四章 成熟を願うAA:他者を求めて――AAが周知される時代
第五章 AA成熟への道:アルコホーリクス・アノニマスの限界
第六章 成熟にともなう責任:有限だからこそ生まれるAAの全体性

第二部 解釈
第七章 米国史のより広い文脈で
第八章 宗教思想史の文脈で
第九章 AAの意味と意義
補遺A AAと「絶対的存在」
補遺B 時が満ちて

参照文献解題
訳者による解説

原著は1979年に出版。当事者間による「言いっぱなしと聞きっぱなし」ミーティングで有名なAAを、歴史と解釈の二部編成で扱う。丁寧な訳業で、細かな註や補遺まできっちりと訳してある。

ケアや支援の領域ではどうしても「手法」だけが注目されがちで、しかも宗教的背景の話はまともに扱われない傾向が強いが、本書を通して両者がいかに密接に結びついているかを知ることができる。ケアの思想論、社会運動論、アメリカ文化・宗教論、現代宗教論と、さまざまな角度から読むことのできる一冊。

[J0100/201101]