ちくま新書、2006年。

第1章 自律の時代
第2章 自律するということ
第3章 自律のメカニズム
第4章 自律の先にあるもの

大塚久雄とか大塚史観というと、自明のもの、用済みのものとして片付けられがちなので、それを平易に説明してくれている本書はありがたいかも。著者は、ポスト近代論による批判をこえて、大塚久雄が唱えた「他者啓蒙を組み込んだ個人主義」の現代的可能性を追究する。正直、個人的には、自由論や個人主義論としてはそこまで深いとは思わなかったのだけど、時代の流れの中に議論を位置づけていくところで、「日本における個人主義の可能性」というこの問題に見通しを与えてくれる。

[J0121/201230]