角川新書、2020年。

第一章 信長とキリシタン宣教師
第二章 報告書「信長の死について」の成立
第三章 キリシタン史料から本能寺の変をたどる
第四章 光秀の意図
史料編 完訳・ルイス・フロイス「信長の死について」

かなりの部分が、ルイス・フロイスの報告書「信長の死について」をはじめとするキリシタン史料の性質について述べた記述で占められている。そういう本。

明智光秀の娘であった細川ガラシャは、光秀を破った高山右近を恨んだり、あるいは細川忠興に離縁される理由となった謀反をおこした父親光秀を恨んでいなかったのか、というのが、本書のひとつの問い。浅見さんがガラシャの態度とフロイス文書から推測するに、光秀には野心や私怨以外に謀反を起こす大義があったらしく、おそらくは明智家の存続を脅かすような何からの事態があったのではないかと。もしそうだとすると、細川家を守ろうとしたガラシャの自害も理解できるのでは、とのこと。

[J0193/210829]