副題「最短で結果を出す科学的トレーニング」、講談社ブルーバックス、2017年。
たしかに、ランニングの本は数多あれど、いちいち科学的根拠のもとに書かれた本は少ない。同じ理屈でも、エビデンスが示されるとそこに力を注げるよなあ。路線としては『Born to Run』のように、年齢にかかわらず、人間は走るようにできていると。フォアフット着地以外に動作に関する話はほとんどなくて、とにかくマイペースで走るというのと、体重が最大の指標なんだと。
● 筋肉に対する加齢の影響は部位によって異なり、上腕やハムストリングで影響は少ないが、大腿前面や腹筋・背筋で低下が大きいという。ただし、運動によってそれを十分補えるという。
● 走るためには筋トレは必要ないという。
● 本書が推薦する「にこにこペース」は、乳酸が蓄積する寸前の速度。3~4分走ったときの心拍数が138-年齢÷2が標準。余裕があれば148-年齢÷2。
● 接地はかかとからではなく、足指の付け根。ピッチ走法。フォームについてもこれくらいのシンプルな言い方。かかと着地はフォアフット着地の3倍も衝撃が大きいのだという。その場でジャンプすると、フォアフット着地になる。本書はマラソンのサブスリーが念頭に置かれているが、速く走りすぎないことが大事だと。
● にこにこペースでは準備運動も不要とのこと。
● 靴底は薄く、裸足感覚でというのも、Born to Run 的発想。
● 本書は体重を重視。
● ランニングはウォーキングの2倍のカロリーを消費。ランニングはこまめに分けて走ってもよい。1分の運動でもよいという。
●「運動して食事を腹八分目に抑えれば、必ず痩せます」というシンプルな。「1時間以上の運動ができたら食欲のままに食べる、もし運動できなければ、食事を腹七~八分目に控える」。
●「20分以上運動しないと脂肪が燃えない」というのは、早朝空腹時のこと。また、糖だろうが脂肪だろうが消費カロリーにちがいはない。
● 乳酸閾値を決め、その人の速さを決めるのは酸素摂取能力で、それは心臓から送り出され骨格筋に集められる血液量と、骨格筋が酸素を消費する能力で決まるのだそうな。前者の血液量は心臓のポンプ機能と骨格筋の毛細血管の数、後者の能力はミトコンドリアの数と機能に依存すると。
● どうもマラソンのパフォーマンスに、グリコーゲンは相当大きい模様。本書ではカーボローディングの話はかなり細かく書いている。脂肪とグリコーゲンのハイブリットで走るものらしい。にこにこペースは、脂肪を最大効率で使えるペースであるとのこと。
● 走る量については、サブスリーを狙うには週70㎞が目標だそうな。いや、簡単にサブスリーが出ますよみたいな感じで書かれているけど、結局量よな。
● ただのジョグ以外の練習でいうと、マラソン目標タイムの平均スピードで60分程度走る、または1000m×5~10回のインターバルを入れることがお薦めだそうな。インターバルは、最初の1本は目標タイムの平均スピードで、あとはゆっくりと乳酸閾値をわずかに上回る程度だと。200~300mの坂道ダッシュ×4~5本(レスト4~5本)も薦められている。
● 目標タイムの算出方法。実績タイム×(現在の体重/実績タイムのときの体重)=今回の目標タイム、とな。
● 普段の食事は、低炭水化物・高脂肪食。炭水化物は総摂取エネルギーの30%。一日に摂取するタンパク質は、体重1㎏あたり1.5g以上。
● 早朝、空腹時に走ると、脂肪の燃焼能力が向上すると。「乳酸を溜めずに走る能力は、脂肪を使える能力に依存します。・・・長時間運動での疲労の原因はグリコーゲンの枯渇ですから、代替エネルギーである脂肪を使えれば、グリコーゲンを節約でき、パフォーマンスが向上することになります」(169)
● マラソンのときに給水をしすぎると、低ナトリウムになって場合によっては死にいたる。走った前後で体重がどれくらい減るかを測定して、それ未満の水分摂取量にするとよい。
● ペースはとにかく平均スピードを徹底して守る。
● 30㎞すぎてのつらさは、低血糖による脳疲労が大きいとのこと。
フォームやペース、あるいは走ること以外の筋トレなどには一切ふれず。シンプルだが、実績を出しているメソッドとのこと。なるほど、科学的知見に則ることで、余計なことをしていない。要するに、たとえば5000mで15分を切る、みたいなこととはちがって、サブスリー程度のことであれば、とにかくシンプルにペースを崩さずに走り続けられることがすべてだということを述べている。言われてみればそのとおりだ。もちろん、フォームやら何やら、+アルファはあるにしてもだ。トラック競技に比べて、マラソンはよりシンプルだとも言えるし、シンプルな部分についてごまかしが効かないとも言える。
減量もシンプルに、基本は運動量とカロリー量のことだけで考える。年齢だタイミングだ、あるいは細かなノウハウだにとらわれないことが、むしろ科学的思考というもの。
具体的なところはある程度経験則も入っていて、週70㎞を走れということ、そして一番簡単だけど難しいこと、朝食前に(少しでも)走れということに尽きそうだ。その結果でもあり目安でもあるのが体重だと。
実績タイム×(現在の体重/実績タイムのときの体重)=目標タイムとのこと。60㎏で3時間30分だとして、3時間で走るには 51.4㎏。55㎏なら3時間12分。もっとも、60㎏=3時間30分のときも多くて月間120㎞程度。週70×4=280㎞の半分もいっていない。
[J0667/260527]
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