副題「増え続ける外国人とどう向き合うか」、ちくま新書、2025年。
今いまの問題を扱って、ひじょうによく構成されている本。あまりに手際よく通説をひっくりかえしていくので、逆に警戒したくなるくらい。でもきっと本当なんでしょう。

序章 増え続ける外国人
第2章 少子高齢化と移民を考えるために―移民政策の歴史
第3章 人はなぜ国境を越えて移動するのか?―移民理論の現在地
第4章 技能実習制度は「現代の奴隷制度」なのか?―成長するアジアと日本
終章 吹き荒れる排外主義の中で―移民政策の未来

日本は移民、とくに永住型の受け入れではじつはかなり実績があり、OECD諸国では10位に位置している。永住型と一時滞在型を合計すると、年間36万人を受け入れて、同7位になる。永住型の割合は25%で、この割合は英国(77%)、カナダ(38%)についで3位。

「受け入れの際に求める要件が比較的少ないことに加え、永住型の占める割合が多いといった特徴を踏まえるならば、日本は国際的に見てリベラルで開放的な労働移民政策をとる国として位置づけられる」(56)。

「日本は先進国ではほぼ唯一、労働ルートでの受入れが機能している国と言える。なぜなら、欧米諸国における移民受け入れは、最も需要の多い「労働ルート」での受け入れが非常に少なく、難民などの「人道ルート」、家族呼び寄せなどの「家族ルート」、観光などの短期滞在の後の「オーバーステイ」(超過滞在)といった他のルートにあふれ出しているためた。これが欧米の移民政策が崩壊しているとされる所以である。一方、・・・・・・日本は広範なスキルレベルにわたって永住型の労働ルートでの受け入れが行われており、他のルートが濫用されるリスクは低い」(57)。

日本の移民政策における「埋め込まれたリベラリズム」(95)。制度の中に人権尊重の考え方が組みこまれている状態。

また、たんなる経済格差や「出稼ぎ」だけが移民の理由ではないという。「学歴や収入が高くなるほど、日本や米国への移住を希望するようになるというパターンは、国ではなく個人を単位とした分析でも打倒することが明らかにされている」(156)。「データは、欧米諸国に行けなかった移民が仕方なく日本に来る」といった理解が妥当しないことを示しているのである。様々なデータに基づく限り、日本はもう「選ばれない国」などではなく、むしろ最近、急速に移住先としての人気を高めている国と言える」(157)。「日本が今後、人口減少により経済減少が縮小すれば、外国人に「目指されない国」になるという仮想シナリオは間違いなのである」(165)。また、経済格差だけが移民の理由ではないということは、訪れる移民の数にも上限があるということになるらしい。

[J0651/260323]