ちょっとした成りゆきで、ハリエット・マーティノー(1802-1876)なる人物を調べることになったが、あと50年も経てば、E・B・デュボイスあたりとともに社会学の教科書に必ず載るようになるのではないか。下記の本で「忘れられた社会学者」と書かれたのが2001年、それから20年が経過しているから、海外ではすでに再評価も進んでいるのかもしれないが、日本ではまだのように思う。
マーティノー再評価をめざした下記の論集のタイトルを眺めるだけでも分かるとおもうが、いろんな角度で有望な鉱脈すぎる。ジェンダー、障害(晩年唖者になっている)、アメリカ論とその人種主義批判、経済思想、ユニテリアンやコント流の実証主義との関係、さらにナイティンゲールとも繋がりがあったとは。
Michael R. Hill and Susan Hecker-Drysdale, Harriet Martineau: Theoretical and Methodological Perspective. (Routledge, New York, 2003[2001]).
イントロダクション
第1章 教室で、その外で、マーティノーを真剣に取り上げる
第2章 マーティノーとユニテリアンとの関係
第3章 レモネードをつくる:唖者になったマーティノー
第4章 マーティノーとトクヴィルの方法論的比較
第5章 「事物」の意味:マーティノーとデュルケームの理論と方法
第6章 「仕事を語る」:マーティノーによる仕事と職業の社会学I
第7章 「仕事を語る」:マーティノーによる仕事と職業の社会学II
第8章 ナイティンゲールとマーティノーの共同作業
第9章 マーティノーとコントの実証主義
エピローグ マーティノー社会学とこの分野の未来
[J0088/200914]