ちくま学芸文庫、2020年。うーん、評価の高い本のようだけど、ここまで冗長に書く「意義」が分からなかったな。こちらの根気の問題か。
はじめに
第1章 ルールに基づく思考と文脈依存性
1・1 内容独立のルール利用
1・2 人間の非論理性:条件文推論
1・3 条件文推論の文脈依存性
1・4 集合関係理解の文脈依存性
1・5 抽象的ルールの利用可能性
1・6 抽象的ルールはなぜ用いられないのか
1・7 知識の文脈依存性
第2章 類似の諸相
2・1 貶められた類似
2・2 概念と類似
2・3 帰納と類似
2・4 記憶と類似
2・5 言語と類似
2・6 学習の転移と類似
2・7 創造と類似
2・8 類似性判断のモデル
第3章 類似を思考へ拡張するために
3・1 特徴とはなにか
3・2 特徴の顕著さとはなにか
3・3 高次認知における類似:構造とゴール
3・4 類似の変動を規定する要因
3・5 類似の次元
3・6 問題解決文脈における類似判断
第4章 類推とはなにか
4・1 類推の基本図式:ベース、ターゲット、写像
4・2 類推における対象、性質、関係
4・3 日常生活における類推
4・4 学問における類推
4・5 社会と類推
4・6 思考のツールとしての類推
4・7 人はいつから類推するか
第5章 類推の認知科学的な研究へ向けて
5・1 プロセスとして類推を考える
5・2 ベースの検索
5・3 写像
5・4 既存の理論の問題点
第6章 準抽象化に基づく類推
6・1 類推はなぜ可能か:カテゴリー化による同一化
6・2 準抽象化
6・3 準抽象化を媒介とした検索と写像
6・4 準抽象化の動的生成
6・5 人間の認知における準抽象化
6・6 まとめ
第7章 類推のこれまで、そしてこれから
7・1 本書は何を主張したのか
7・2 思考の統一理論は可能か
付録 準抽象化理論と他の理論
1 多重制約理論
2 構造写像理論
3 概念メタファー説
4 P-prim理論
5 漸進的写像理論
6 Copycat
概念というのは明確なルール=定義的特徴からなるという従来の常識に対して。ウィトゲンシュタインに影響を受けたというロッシュについて。「ところがこの常識をひっくり返す研究がエレノア・ロッシュという研究者によって始められ、爆発的に広がった。これらの研究が示したことは、(1)果物、鳥などの日常の概念(自然概念と呼ばれる)には、ほとんど場合定義的特徴は存在しないこと(家族的類似性)、(2)人が挙げる「定義」はその概念にとって本質的でない特徴に基づいていること(特徴的特徴)、(3)概念の事例には「それらしさ」、「それっぽさ」を表す典型性が存在することである(グレード構造)。」(56-57)
>E. Rosch, Principles of categorization, In E. Rosch and B. Lloyd eds, Cognition and Categorization. 1978.
「きわめて例外的な状況を除けば、人間の推論は不確実な前提からなされている。経験から作られた準抽象化、あるいは動的に構成された準抽象化は、そもそもそれが確実に妥当かどうかはわからない。また、適切な準抽象化が検索されなかったり、生成されないこともあるだろう。さらに、準抽象化内の要素が、正しくターゲットに写像されるかどうかも不確実である。これらの不確実性がすべて取り払われた時に、推論ははじめて演繹的となる。このような見方をすれば、類推が演繹に還元されるのではなく、演繹こそが類推の特殊ケースとも考えられる」(260)。
「演繹と機能は一般的に全く別の形式の推論と考えられている。しかし、上述したように、準抽象化に基づく類推という考えを導入することにより、これらの間には密接な関係があることが示唆される」(262)。
[J0683/260801]
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