ちくまプリマー新書、2026年。もろもろの社会的な義務に苦しむ人、とくに若い人には、助けになる一冊と思う。

第1章 生まれるって、だれの決断?
 1 「頼んでない」は言ってはいけない?
 2 親は依頼されていない/子は選べない
 3 存在させることの一方通行性
第2章 「親ガチャ」を考え直す
 1 そのガチャって誰が回してる?
 2 金持ちに生まれたら幸せ?
 3 「子ガチャ」の視点
第3章 「幸せ」を倫理学で考えてみる
 1 快と苦は相殺できる?──功利主義という考え方
 2 存在させることは「害」か?──ベネターの非対称性
 3 「正解」はあるのか?──事実と価値を区別する
第4章 家族は「当たり前」じゃない?
 1 「家族を大事に」の圧をほどく
 2 一人でいるのは悪いこと
 3 友だち関係の作り直し
第5章 「ふつう」と「がんばれ」から自由になる
 1 「1/2成人式」ってなんだろう?
 2 どうしてがんばらなきゃいけないの?
 3 「ふつう」を自分で定義する
第6章 「子どもをつくらない」を選ぶ倫理
 1 作る権利・作らない権利
 2 中絶・養子・教育の超入門
 3 親を責めてもいいの?
第7章 ぼくらの生まれたこの世界で
 1 ケアは血縁を超えられる
 2 「持たない」生の充実
 3 今日を生きる
ブックガイド──さらに考えたい人のために

著者いわく、反出生主義とは「人間好きの優しい思想」であり、「存在させることの重さ」を認識するものだという。反出生主義の基本的な説明をしてはいても、「生まない方がいい」という反出生主義の立場を強く主張することは、おそらくは意図的に避けられている。

そんなこともあって、正面から反出生主義を扱っている部分は少なく、家族主義や社会道徳の問題など、反出生主義に著者が帰している立場と軋轢をおこす、もろもろの話題を広く取りあげている。

[J0685/260802]