Author: Ryosuke

河川行政に関するオーラルヒストリー実行委員会

公益社団法人日本河川協会で、河川事業および河川制度の歴史研究としてオーラル・ヒストリー事業を進めていて、これがなかなかおもしろそう。


 刊行済みの報告書。
『戦後の水害と治水事業(昭和20年代~昭和40年代)』渡邉隆二 
『利根川放水路建設計画』尾之内由紀夫
『戦後の治水長期計画と河川環境保全』西川喬
『戦後の河川の研究と技術』吉川秀夫
『私が歩んだ戦後の河川行政』川崎精一
『戦後の治水事業(昭和30年代~昭和50年代)と私がめぐり会った人々』小坂忠
『九頭竜川にかける男』 東郷重三
『河川総合開発 』松村賢吉 他
『わたくしの河川行政の歩み』 廣瀬利雄
『松原・下筌ダム事業オーラルヒストリー 』ダム技術センター
『斐伊川・神戸川流域治水事業 』定道成美 他
『公務と研究半世紀の中の河の経験・水の交流』三本木健治
『利根川総合開発と私、その10年~利根川河口堰と八ッ場ダム~』陣内孝雄
『逆境からの模索』近藤 徹
『河川水害訴訟』谷口光臣 他
『ダム等事業審議委員会によるダム事業評価システム
『八ッ場ダム建設事業における「中止」宣言から
 本体工事着手までの経緯に関する記録(中間報告)
http://www.japanriver.or.jp/kyoukai/shiori/shiori.htm

月刊誌『治水雑誌』『水利と土木』『河川』についても記事検索ができて、会員は本文閲覧もできる模様。

[N0001/211028]

松塚豊重『石見の善太郎』

永田文昌堂、1988年。

喜びの跡
善太郎文字とこの善太郎
ご意見――聴聞
地獄の仕事
石見の自然と生活
海の徳、天の徳
ご恩
御開山さまの御誕生日
ご恩知らず
生まれつ死つ
言葉と行為
草餅説法
散り葉ほどもええことがない
苦をのがれもうす
お育てのおかげ
にんげんなら、にんげんらしゅう、してくらせ
信仰の友、磯七
法友たちの踊り
泣柱
割り木
別れ路とまた会う国
妙好人と言葉

石見は下有福の妙好人、善太郎。記録に残っている年頃の問題もあるにせよ、いかにも好好爺然とした因幡の源左と比べると、なかなか気性の激しい人だったもよう。法悦で踊り出すようなエピソードもあったり。

上に節タイトルを並べたけど、妙好人とは相田みつを的なもののルーツなのかもしれないな、そういえば。ウィキでみると、相田みつをは曹洞宗を学んでいるのか。

この本自体は、著者のドイツ哲学の概念を駆使した解釈のあいまから善太郎の姿をうかがうという感じで、シンプルな言行録が読みたいな。菅真義『有福の善太郎』(百華苑)がそれのよう。

[J0210/211026]

崔吉城『キリスト教とシャーマニズム』

ちくま新書、2021年。

序章 日本と韓国のキリスト教文化
第1章 シャーマニズムの中で生まれ
第2章 シャーマニズムの研究へ
第3章 キリスト教との出会い
第4章 儒教とキリスト教の葛藤
第5章 シャーマニズムとキリスト教の調和
終章 シャーマニズムからキリスト教へ

 読めばK-POPも韓国ドラマももっと面白くなる、という帯の文句は本当かいな、ということはさておき。韓国のキリスト教を扱った新書には、浅見雅一・安廷苑『韓国とキリスト教』(中公新書、2012年)があるが、それとはまったくテイストがちがう。本書はむしろ、シャーマニズムが主で、韓国のキリスト教も基盤にシャーマニズムがあるという理解。また本書は、シャーマニズムを信仰する親を持った韓国生まれの人類学者が、まだ経済成長前の韓国をフィールドに苦労をして調査を進めていった体験記でもある。

 基本的知識なんだろうけど、韓国では巫者は世襲で、ときに差別を受けた職能集団を形成してきたと。それが近年では、固有文化として文化財としての扱いも受けるようになってきているとの話。シャーマニズムないし民俗宗教とキリスト教の習合ということでは、池上良正『悪霊と精霊の舞台』(どうぶつ社、1991年)が想起される。

[J0209/211026]