Category: Japanese Articles

畠山理仁『コロナ時代の選挙漫遊記』

集英社、2021年。

目次
熊本県知事選挙
衆議院静岡県4区補欠選挙
東京都知事選挙
鹿児島県知事選挙
富山県知事選挙
大阪市住民投票
古河市長選挙
戸田市議会議員選挙
千葉県知事選挙
名古屋市長選挙
参議院広島県選出議員再選挙
静岡県知事選挙
東京都議会議員選挙
兵庫県知事選挙
横浜市長選挙

表紙は和田ラジオのイラストで、泡沫候補をおもしろおかしくいじるとか、その種の本かと思えばさにあらず。「候補者は育てるもの」「投票し注目することで新陳代謝を促す」と主張し、それを実践する著者の熱い姿勢が印象的。もともとウェブメディアの連載記事なので、読みやすい分量。

[J0294/220913]

酒井信雄『日本人のひるめし』

中公新書、2001年。2019年に吉川弘文館から復刊されている模様。

第1章 「ひるめし」の誕生
第2章 弁当の移り変わり
第3章 給食と食生活への影響
第4章 外食の発達
第5章 「ひるめし」と麺類
第6章 国民食のカレーライス
終章 「ひるめし」の行方

著者がプロの研究者ではないことが良く働いている面もあって、さらっと読める。雑学的におもしろい話、気づきのある話も多い。典拠はひととおり示しているので、そこは安心。

日本の外食は江戸時代からはじまったとあるが、直感としてはそれはないだろうという気がする。ほんとうに中世に外食はなかったのだろうか? ただ、外食を卑しむ意識がかなり重要な規制として働いてきたことはありそうだ。現代の話としても、いま住んでいる松江では、卑しまれることこそないけども、他の都市に比べると外食は「ふつうではない」といううっすらとした雰囲気を感じるときがあるのだな。それは、町のつくりや店のたたずまいから感じられる雰囲気で、立ち食いそばや牛丼屋などが立ち並ぶ、東京などとはちがう感じ。

[J0293/220912]

藤木久志『戦国の村へ行く』

朝日新書、2021年。1997年に刊行された本の再出版。解説・校訂清水克行。

1 村の戦争
 戦場の荘園の日々―和泉国日根荘
 村人たちの戦場
 戦場の商人たち
2 村の平和
 荘園の四季
 村からみた領主
 村の入札
3 中世都市鎌倉
 鎌倉の祇園会と町衆

「1 村の戦争」では、領主や大名とたくましくやりとりをする村人たちの様子を描く。その記述でこの本は有名だとおもうが、より感銘を受けたのは「2 村の平和」。中世の年中行事を資料から復元して、近代のそれとも比較する。ひとことに「伝統的な年中行事」とは言うけれど、散発的にではなく、実際にこのように中世にその様子を辿る仕事ってなかなかないのでは。近世まではそこそこありそうだけども。柳田國男が泣いて喜ぶよ。「3 中世都市鎌倉」では、中世後期に鎌倉は「散村」になったという見方に抗して、生活・文化の歴史的連続性を辿っていく。

いくつかメモ。

「かけこみ寺」「公界」としての寺社も、戦国の終わりになると大名たちに治外法権の立場を奪われるようになるらしい。同時に、大名の城が民衆の避難所としての役割を強めていくという。(97-98)

中世の人びとは、「天下の将軍にも、荘園の領主にも、それぞれ固有の職責があるとみて、イザという時、その遂行を強く求めていた」(174)。16世紀はじめ、和泉国日根荘、正月に行われていた「吉書始め」(145)。それは「領主と村の百姓たちにとって、年のはじめに、領主が勧農を、百姓が年貢を守るという誓いを新たにする大切な場であった」(145)。あるいは、領主の代替わりの際につくったという、起請文(182)。こうした役の体系に近いような観念が、中世の遅くない時期にはすでにあったと。ふむ。

[J0292/220908]